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新着情報

2020-07-11

実印はお一人様一本でお願いいたします

実印のご相談で来店いただきましたご夫婦のお話です。

最初は姓名彫刻で二つご注文いただきましたが、途中からは姓だけで一つ作って夫婦で使うと言う事に。
印章店では本来実印は姓名を彫刻したものと定義がありますが、役所には姓名・姓だけや名前だけ・姓と名の一部を組み合わせたものが実印登録ができ印鑑登録証明書を取る事が出来ます。
急いで実印が必要になり、お手持ちの認印を登録して実印として使っているのをよくお聞きします。
しかし、実印・印鑑証明は個人の権利や義務・意思を主張・証明出来るものでたとえ家族でも共有出来るモノではありません。家庭の中で使わない姓だけのハンコがあっても、誰かが実印の登録をしていると別の人が登録する事は出来ません。
一通り説明を聞いていただき、奥様はお名前でお作りいただく事になりました。
姓だけお二人分でも書体やサイズなど区別出来る要素はいくつも有ったのですが、この先同じ姓で過ごす保証はどこにもないからとのことでした。
奥様は明るくジョークっぽく仰ったのですが、ご主人は苦笑いでした。

この度は不動産取引でのご入用でしたが、実印には様々な役割があります。
不動産取引・マイカー購入・賃貸住宅の契約・公正証書、その他契約書の作成・遺産相続・保険金や補償金の受取・法人の発起人となるとき、などなど重要な契約や証明に必要となります。
相続関係にとご家族の人数分を姓だけでお作りいただく事があります。
素材もサイズも同じでも、印影で区別出来るよう書体や文字のクズシ方を変えます。
またご家族の使っている姓だけのハンコと違うようにとご依頼いただく事があります。印影をお持ちになるといいのですが、うろ覚えでだと困ります。印影見本をお見せしてもピンと来ず、最後はお任せとなる事が多いです。先人が遺した印影集を参考にしたり、今まで使った事が無いクズシ方や線の曲げ伸ばしでお作りするのですが納品までドキドキです。

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